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Like a Virgin ♯8

夜が漆黒に更けていき、月明かりも窓辺に届かなくなった。
この瞬間も、いくつもの流れ星が森の奥深くへと降りそそいでいるのだろうか。ふたりには窓の外を確かめる余裕もなかった。今はただ、互いの身体に夢中になっているだけだ。
薄紅色のランプシェードの灯りが、キャンディの肌を白く浮き上がらせている。アルバートの身体に折り重なるように身をかがめているキャンディは、ひたすら一途に愛をそそぎ続けた。

アルバートは常に、キャンディの身体の隅々まで細やかに愛し、深い喜びを与えてくれる。そんなアルバートに少しでも応えたい。もっとアルバートに深く感じてほしい。キャンディはそう願い、ひたむきなほどにアルバートの身体に想いを伝えた。
なめらかで熱く強い肌に手をすべらせ、アルバートの身体のなかで最も熱をもった場所に何度も濡れたキスをし、舌を這わせ、頬ばった。強い意志をもったかのように主張しているアルバート自身を、キャンディは大切に愛し、味わった。
不器用でも、自分にできるすべての愛の表現を、キャンディはアルバートに贈りたかった。そしてそうすることで、キャンディ自身も恥ずかしいほどに昂っていった。
アルバートは身をゆだねながら、キャンディの髪を愛おしそうに撫でている。少しずつ自制が効かなくなっていくにつれ、アルバートが低くせつなげな呻き声を漏らしはじめた。その声にキャンディの胸が熱くなる。
嬉しい。バートをもっと喜ばせたい・・・。

「キャンディ、こっちを見て・・・」
身が持たなくなりかけたアルバートが、キャンディの顔に手を添えて上向かせた。動きを止めたキャンディが頬を上気させてアルバートを見上げる。その表情を見たアルバートは、もう我慢できないという様子でキャンディの身体をグッと引っ張り上げた。抱きしめながら身体を反転させ、キャンディをシーツの上に押さえつける。
キャンディの濡れた唇にアルバートが激しく唇を押し当て、膝頭を使ってキャンディの最も敏感な部分をこするように刺激し始めた。途端にキャンディが甘えるような悲鳴をあげ、アルバートの腕に強く爪を立てた。
刺激される部分から透明な蜜があふれ出し、アルバートの膝を濡らしていく。
アルバートはキャンディの脚を抱きかかえると、太腿の内側に唇をすべらせ、ひんやりとしたやわらかい肌を味わった。内腿を優しく吸いながら、感じすぎてふくらんでいるキャンディの秘所を手でくまなく刺激する。唇がゆっくりと内腿から秘所まで這うように移動し、指先の愛撫ですっかりとろけているキャンディの窪みに熱い舌が差し込まれた。キャンディはもはや意識が遠のくほどの快感に呑み込まれ、アルバートの髪をギュッと掴みながらせつなく喘いだ。

「・・・入りたい。いいかい・・・?」
「ん・・・早く、きて・・・」
眼を潤ませて懇願するキャンディを抱きすくめると、アルバートはためらうことなくキャンディのなかへ一気に入ってきた。深々と貫かれ、キャンディの身体が一度、二度と弓なりになる。
自分のなかにアルバートが入ってくるだけで、決してこの男を離すまいとするかのように身体の芯がきゅうっと締まる。どうしてこれほどまでに愛おしくて気持ちが良いのか、自分でも信じられないくらいだ。ぴったりと肌を合わせながら、ふたりはひとつになって激しく求めあった。
「キャンディのなか、溶けちゃいそうだよ」
もはや、どこからが自分でどこからがアルバートなのか分からない感覚に陥る。

キャンディがうっすらと汗を浮かせながら、身を震わせ始めた。アルバートはキャンディの身体をいっそう強く抱き寄せると、腰にグッと力を入れて最も深い場所を繰り返し攻めた。そうして、キャンディの甘い喘ぎと表情を確かめながら、徐々に動きを速めて行く。
やがてキャンディが涙をにじませ始め、「あっ・・・!」と、ひときわせつなげな声を上げた。激しい波に呑み込まれながら、キャンディはアルバートの背中に必死でしがみついた。
ふたりは貪るようにくちづけながら、一番遠いところまで一緒に行きつき、そのまま激しくはじけた。そうして深い余韻に震えたまま、重なり溶け合った身体がゆっくりと崩れおちていった。

ベッドの上で絡みあったまま、汗に濡れた互いの肌に優しくキスをしあった。
「どうして、笑ってるの・・・?」
キャンディが息を弾ませながら、アルバートの額の髪をそっと拭う。
「あんまり幸せだから、顔がこうなってしまうんだよ。だらしないだろう?」
「ううん、カワイイ。こんなユルーイ顔のバート、私しか知らないから大好き」
「キャンディだって、すごいエッチな顔してるぞ。その顔はトニーには見せられないな」
「えーっ!どんな顔してるの?私。嫌だぁ、恥ずかしい・・・」
「その顔は危険だな。僕限定の危険水域だ」
キャンディはアルバートの汗ばんだ首筋に顔を押し付けてクスクス笑った。
「・・・汗かいちゃったね。このまま寝たら風邪ひくかもしれないよ」
「・・・もう一回お風呂、入る?一緒に・・・」
「ほら、またそういう顔でそういうことを言う。きみは意外なほど小悪魔だな。自分で気づいてないだろう?」
アルバートはキャンディの頬っぺたを指先でキュッと摘むと、勢いよくキャンディの腕を引っ張って起こした。
「行こうか、バスルーム」
アルバートの両腕に包まれ、耳元で囁かれる。キャンディはまた頬を火照らせながら、コクンと頷いてアルバートの肩に顔をあずけた。何度抱きあっても、何度愛を伝えても、まだ足りないくらい愛おしい。キャンディはこのまま夜が明けなければいいのにと眼を閉じたまま密かに願った。


翌朝、窓辺に朝の光が差し込むと、キャンディは途端に現実に引き戻され、ポニーの家に置いてきた我が子のことが心配になった。
「トニー、いい子にしてたかしら。ちゃんと寝たかなぁ・・・。先生方に迷惑かけてないといいんだけど」
ベッドの上で下着を身に着けながらキャンディ呟くと、まだ眠そうに寝返りを打ったアルバートが、眼をこすりながら答えた。
「あいつははしゃぐだけはしゃいだら、気絶するみたいにコテッと寝るから大丈夫さ。ああ、でも先生方とアニーたちに、迷惑料として美味しいものでも買って行こうか・・・。昨日のドーナッツ、悪くなかったよね?」
「あ、それがいいわね!ココナッツチョコレート味が最高だったわ」
アルバートが思い切り伸びをしながら上半身を起こし、下着姿のキャンディの肩先に唇を押し当てた。
「さて、パパとママの顔に戻るか・・・。ああ、名残惜しいな。夕べのキャンディは最高に色っぽかった」
アルバートがキャンディの肩から唇を離さないので、キャンディはアルバートの髪にキスした。
「そんなこと言って、ママの顔の私は嫌い?」
「いや、大好きだよ。でもママの顔は僕よりトニーのものだからなぁ」
ふたりでクスクス笑いながらしばらくじゃれあっていたが、時計を見て、さすがにもう支度をしなければいけないと気づいた。
「さあ、帰る支度をしましょう。・・・2度めのハネムーンをありがとう、私の大切なバート」
アルバートは優しく微笑むと、ベッドの上でキャンディにとびきり甘いキスをした。




by akaneiro16 | 2016-05-12 20:07 | ファンフィクション