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私のお気に入り ♯6

昼下がりの部屋には、レースのカーテン越しに秋めいたやわらかな光がたっぷり注ぎ込んでいる。大きなガラス窓の向こうは部屋備え付けの小さなテラスで、その先には緑が生い茂っているので人目を気にする必要はない。それでも蜂蜜色の明るい光のなかで自らの肌をさらすことは、いくら夫婦と言えどもキャンディには恥ずかしくてとても無理なことに思えた。・・・思えたのに、アルバートが軽々とキャンディを抱えてベッドへと運ぶと、身体の奥からあふれだす甘い欲望に、もう抗うことができなかった。

「こんな小さいベッドで抱きあうの、はじめてだね」
「だって、一人用のベッドだもの・・・。あの頃、アルバートさんの仕事が忙しくて、シカゴに来てもなかなか会えなくて・・・。私、このベッドのなかで淋しさに耐えてたのよ」
「このベッドで、僕のこと考えてくれてたのかい?」
「そうよ・・・。眠れなくて、逢いたくて。すごくすごくせつなかった」
アルバートはキャンディの唇を、甘い音を立てながら貪った。熱い手のひらが、キャンディのなめらかな肌の上をすべり、質感をたしかめるように愛撫する。
「僕も、せつなくてたまらなかった。あの頃、君の心がほしくて、いつも本当は苦しかった」
「・・・遠回りしたのかしら、私たち・・・。ううん、時間をかけたからこそ、本当に大事なものに気づけたんだわ。・・・私の心は永遠にバートのものよ。ほら、全部あなたのもの・・・」
キャンディはアルバートの手を掴むと、自分の胸のふくらみへと誘った。
「・・・伝わる?ドキドキしてるの。・・・まだこんなにドキドキするの。自分でも信じられないわ。私たち、パパとママになってるって言うのに、今でも私、こんなにときめくのよ」
キャンディが瞳を潤ませながらアルバートを見上げた。

アルバートは、キャンディのまだ少女のように見える胸のやわらかな丘を愛おしげに両手ですくい上げ、優しくもてあそんだ。指の腹を押し当てて尖った先を細やかに刺激し、キャンディの細い息にあわせて摘んでは指先で転がす。こうすると、キャンディが小さな悲鳴にも似た吐息を漏らすことも、アルバートは熟知している。キャンディの身体のどこをどうすれば一番感じるのか、アルバートは既に十分すぎるほど知っていたけれど、それでももっともっと愛する人を感じさせたい、もっと幸せな吐息を聞きたい、そう思いながら常にくまなく愛することをやめなかった。
キャンディはそんなふうにアルバートが全身全霊で愛を注いでくれることに、この上ない喜びを感じていつも泣き出しそうになった。それで何度も、今日こそ自分がアルバートをもっと感じさせたいと思うのだが、夫の身体に不器用に愛を伝えているうちに、気づけばいつもアルバートの手によってキャンディのほうが喜びを与えられている。一度、自分は夫を本当に喜ばせてあげられないのではと、もどかしい思いに苛まれ、アルバートに控えめに尋ねたことがある。そのときのアルバートは心底びっくりした顔をして、言ったものだ。
「何言ってるんだい?キャンディが僕の腕のなかで最高に感じてる顔を見るのが、僕にとっての一番の幸せなのに。きみのあんな顔、世界中で僕しか知らないなんて、そう考えるだけで興奮するんだよ・・・」
どこまで本気なのか冗談なのか分からない顔で、アルバートはそう言ってキャンディにくちづけたのだった。
でももうそれ以来、キャンディは余計なことで悩むのはやめにした。ただただ、キャンディがアルバートの愛に全身を包まれ、翻弄されるほどの心地よさに呑み込まれて抱きあうだけで、自分たちは最高の幸福を分かち合える。それだけが唯一の真実だった。

「・・なんだか、赤ちゃんみたいよ。・・・ほんとにちっちゃなバートに戻っちゃったのね?」
キャンディの胸に顔を埋めて、固くなった蕾を音を立てて味わい吸っているアルバートの夢中な様子がなんだか可笑しくて、キャンディは甘い吐息を漏らしつつも、ついからかうような口調で言ってしまった。それでもアルバートはそこから離れず、唇で挟んだり歯を立てたり、舌で飴玉を転がすようにしゃぶったりして執拗にキャンディを攻め続ける。その巧みな舌使いに、キャンディもだんだん冗談を言っている余裕がなくなり、呼吸が荒くなりはじめた。
「・・・ね、もうダメ・・・これ以上したら・・・」
「だって、キャンディのここはもともと僕のものだったんだよ。なのにいっときトニーの奴に占領されたからな。やっと奪還したんだ、もう手放すものか」
「そんな、子供みたいなこと・・・言わないで、ねえ・・・」
「子供はこんなふうにはならないよ。・・・ほら」
不意にキャンディの脚の付け根の秘めやかな場所に、固くなったアルバート自身が押し当てられ、キャンディは思わず鋭く息を呑んだ。
「・・・これでも、僕は子供かい?・・・ん?キャンディ、何こんなに濡らしてるの。はしたない子だな」
熱い塊となった自身を使って、キャンディの濡れそぼった窪みをこするようにゆっくり刺激するアルバートに、キャンディは我慢できずにせつない声を上げた。
「やっ・・・!ほんとにもうダメ・・・お願い・・・!」
「・・・まだ、あげないよ。欲張りな子には、まだお預けだ」
アルバートが自身をスッとキャンディから離すと、今度は指先を使って秘所を巧みに愛撫しはじめた。花びらを丁寧にほころばすように優しくなぞっては、丹念に刺激し、中をじっくりと探り、芽をいじる指。アルバートの手がキャンディの蜜にまみれていくにつれ、キャンディは我慢できずにすすり泣きを始めた。

突然、部屋のドアがガチャガチャと音を立てた。キャンディがびっくりしてアルバートの腕をぎゅっと掴み、息を潜めて様子を伺っていると、外から「あら?おかしいわね・・・?」とメイドの声がする。どうやらこの部屋を掃除するためにメイドがドアを開けようとして、鍵が掛かっているので困惑しているようだった。
アルバートがフッと悪戯めいた笑みを浮かべ、ベッドからドアに向かって声を上げた。
「悪いね、今ここ使ってるんだ」
「・・・・!!す、すみません!!大変失礼しました・・・!!」
ドタドタと慌てふためいた様子でメイドが走り去る音がして、すぐに辺りがしんと静まり返った。
キャンディはアルバートを下から見上げながら、みるみる赤面して不安げな声を漏らした。
「・・・何してるか、気づいたかしら・・・」
「気づいたって、いいさ。この家の夫婦が仲良いことは、彼らにとっても喜ばしいことだよ」
「・・・もう・・・!どうしてそんな平気な顔してるのよ。・・・恥ずかしいじゃない・・・」
「そう・・・?僕はむしろ自慢したいけどね。まあ、エルロイ大おば様に知られるのはちょっと気まずいけど」
キャンディは思わず眉根を寄せてしかめ面をした。ベッドで抱きあいながら、エルロイの顔を思い浮かべるのは苦行以外の何物でもない。困った顔をしているキャンディの顎をそっと指で持ち上げると、アルバートがチュッと小さくキスした。
「さあ、もう邪魔はされないから、もっと僕に集中してくれるかい?子供たちが帰ってくるまで、まだ時間はあるんだから・・・」
アルバートはそう囁くと、クラクラするほどの色気を感じさせる眼差しでキャンディを見下ろしながら、また指先をキャンディのなかへと沈めていった。
  



by akaneiro16 | 2016-04-08 00:17 | ファンフィクション